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所得税  特定支出控除の見直し

 平成24年度税制改正において、特定支出控除という制度が、使い勝手のいいようにと見直されました。 ハードルが下がり、スキルアップのための資格取得を目指している方など、この制度を使う方が増えるのではないかと思います。 適用は、今年(平成25年1月1日)からです。

1.特定支出が受けられる場合

 給与所得者は、自営業者のように実額で必要経費を所得から控除することはできません。 その代わり給与の額に応じた「給与所得控除」という概算の経費が適用されます。

 しかし、もしこの給与所得控除額の1/2を超えて経費(特定支出)がかかった場合には、その超えた部分を給与からさらに控除することができます。 それが「特定支出控除」です。(金額は下記3参照)

【算式】給与所得の金額=給与収入-{給与所得控除額+(特定支出控除額-給与所得控除額の1/2(最高125万円))}

【特定支出控除のイメージ】
 【特定支出控除のイメージ】

2.特定支出はどんなもの?

 特定支出控除の適用を受けることができる経費は、仕事に関係する経費ならなんでもよいというわけではありません。 次の項目で、いずれも「給与の支払者が証明したもの」に限られます。
   特定支出控除項目

(注)当然ながら、勤務先が負担したものは除かれます。 ただし勤務先が負担した費用でも、給与課税されたもの(たとえば月10万を超える部分の通勤交通費等)は含めることができます。 派遣社員の方は交通費自己負担のケースが多いので、使える方がいらっしゃるかもしれません。

3.具体例

 Aさんは給与収入400万円です。(給与所得控除額は1,340,000円) 資格取得のための授業料で50万円支払い、スーツ代で年間30万、図書費や交際費で30万円使用しました。 合計で110万円が特定支出に該当です。
 1,340,000円の1/2=67万<110万
   110万-67万=43万(超える金額)
43万が控除額にプラスされますので、所得税率5%、住民税10%としますと、64,500円の還付となります。

 では、ご自分の年収からみて、特定支出がどれだけあれば申請できるでしょうか。
    
 会社の経費にならない交際費を使う方や、通勤費の非課税枠(月10万)を超える方、営業でスーツ代がかかる方、資格取得で多額の授業料を支払っている方は、この制度が使えるかもしれませんので、今年からは領収書を保存しておくことをお勧めいたします。

※詳細参照 国税庁HP: http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/120912/index.htm

4.手続き

 特定支出控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。 その際、明細書や書類を提出しなくてはなりませんが、忘れてはならないのが、「給与の支払者の証明書」※です。 会社からの証明がもらえない場合は、特定支出控除として申告できません。

※手続参照 国税庁HP: http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/shotoku/shinkoku/kaisei/121019/pdf/01.pdf

(筆者: 石川 亜紗子 東京港税理士法人)

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